人は、その条件ではなく、
その欠落に恋をする。
EPISODE #8902
「正しさ」を捨てて、
やっと手に入れた景色。
30代半ばまで、私は「正解」ばかりを探していました。 大手企業での出世、都内のマンション、周囲から羨ましがられるキャリア。 それらを手に入れることが幸福だと信じて疑わなかったのです。
しかし、あるプロジェクトの失敗で、私はキャリアのレールから外れました。 部下は離れ、信頼していた上司からは無視され、残ったのは不眠症と、空っぽの部屋だけでした。 その時、ふと立ち寄った深夜の定食屋で、名前も知らない店主が出してくれた味噌汁の温かさに、涙が止まらなくなりました。
私はそこで初めて、「弱さ」を見せられる場所こそが、人が本当に帰るべき家なのだと知りました。 今の私は、以前のような年収はありません。 けれど、自分の弱さを認め、他人の痛みに寄り添える今の自分の方が、私は好きです。
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